アンタ達、あたしの日常どこやった?
平穏を祈る6月

「おはようございます、成田さん」



「おはようございますー」



最近、こうやって廊下を歩いているだけで、名前を知らない生徒から声をかけてくれるようになった。



選挙以来、あたしの名前は良い感じに全校生徒に広まっているらしい。



今まで散々ワケわかんない理由で広まり続けた名前だからね。



高津遥とやりやったり、中原くん殴ったり(あれは不可抗力だけど)、藤崎さんと校門前で大喧嘩したり。



騒がしかった4月、5月も終わり、ようやく落ち着いた6月。



あたしは"ちょっと名の知れた一般生徒"ぐらいのニュアンスでのんきに毎日を過ごしていた。



…相変わらずしぶとく昼休みには高津遥がやって来るし、授業中は本橋律にノート奪われるけど。



クラスメートともようやく落ち着いてコミニュケーションが取れるようになり、あたしの真颯学園ライフはやっと始まった、って感じだった。



そんな6月の1週目の金曜日。



朝礼を終えて、1限の授業の準備をしているあたしの所に、立花先生がやって来た。



「成田、」



「はい」



突然先生に呼ばれたもんだから、びっくりした。



さらに先生は、出席簿を開くと1通の封筒を取り出してあたしに差し出した。




「辞令だ」



「…はい?」



じれい?何ソレ。
< 91 / 172 >

この作品をシェア

pagetop