アンタ達、あたしの日常どこやった?
平穏を祈る6月
「おはようございます、成田さん」
「おはようございますー」
最近、こうやって廊下を歩いているだけで、名前を知らない生徒から声をかけてくれるようになった。
選挙以来、あたしの名前は良い感じに全校生徒に広まっているらしい。
今まで散々ワケわかんない理由で広まり続けた名前だからね。
高津遥とやりやったり、中原くん殴ったり(あれは不可抗力だけど)、藤崎さんと校門前で大喧嘩したり。
騒がしかった4月、5月も終わり、ようやく落ち着いた6月。
あたしは"ちょっと名の知れた一般生徒"ぐらいのニュアンスでのんきに毎日を過ごしていた。
…相変わらずしぶとく昼休みには高津遥がやって来るし、授業中は本橋律にノート奪われるけど。
クラスメートともようやく落ち着いてコミニュケーションが取れるようになり、あたしの真颯学園ライフはやっと始まった、って感じだった。
そんな6月の1週目の金曜日。
朝礼を終えて、1限の授業の準備をしているあたしの所に、立花先生がやって来た。
「成田、」
「はい」
突然先生に呼ばれたもんだから、びっくりした。
さらに先生は、出席簿を開くと1通の封筒を取り出してあたしに差し出した。
「辞令だ」
「…はい?」
じれい?何ソレ。