アンタ達、あたしの日常どこやった?

ごく普通の茶封筒。



裏面を見て、あたしはぎょっとした。



折りしろの綴じ目に押されている印鑑。



"真颯会"の文字があるんですけど…!



「ちょっと、先生!あの、その…!」



「放課後、忘れずに来いよ」



…先生、話の主語が抜けてます。



あたしはペンケースからハサミを取り出すと、恐る恐る綴じ目に刃を入れた。



中に入っていたのは、1枚のコピー紙。



ふっつーの、白い紙が三つ折りにしてあった。



「…真颯会が、今さら何よ…」



選挙で中原くん会長に決まって終わったじゃん。



…言っとくけど、あたし忘れずにハンコ返したぞ。



あたしはこれから、ノンキに真颯学園ライフ満喫するって決めたんだから。



ダメだったもんにすがっても仕方ない。



あたし、その辺はものすごくドライなのである。



…切り替えが早い、って言ってもらった方が嬉しいけど。



さて三つ折りを前にして、あたしは少し開くのにためらった。



それはこれから起こる事への無意識的な危機感だったのかも知れない。



…ええい!来た以上見なきゃ仕方ない!
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