アンタ達、あたしの日常どこやった?

「それはね」



先を歩みながら、何気ない口調で、中原くんは答える。



「成田さんの描く、真颯会を見てみたいと思ったから」



「は、い?」



すみません、あたしの頭じゃ中原くんの言ってる意味が良く分かりません。



「演説会の時に、成田さん言ってたでしょ。誰もが楽しめる学校を作りたい、そしてそれを歴史として残したい、って」



…確かに、言った。



あたしが作りたかった、最初の"真颯会"のイメージ。



初めて真澄に真颯会の存在を聞いた時に思い浮かんだ事。



あたしはそれを演説の軸にしたのだ。



皆が主体になって、皆で学校を作りたい。



"真颯会"って役員だけじゃない、生徒全員を指すはずだから。



だから、皆で楽しく過ごせる学校を作りたい。



具体的な案なんて喋れるほど、はっきりとしたヴィジョンがある訳ではないけど。



でも、それが成功した時、私達は間違いなく歴史を作れると思った。



"誰よりも高校生活を楽しんだ"っていう歴史の証人に。



「それを楽しそうに喋る成田さんの姿が、言葉が。俺にはすごく新鮮だった」



だからそれを一緒に作りたいなって思ったんだ、と。
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