有明の月
「話したことないよね?」



「そこは突っ込むなよ」

そう言って笑うと、またシュート練習を始めた。



あたしは、ボールが吸い込まれて揺れるネットを見ていた。



篠田くんか…、って、何度も名前を反芻しながら。




顔を知っていたから、学校で何度か見かけているんだと思う。


知ってるって程度だから、今まで別にカッコイイとか思ったこともないわけで。


でも、さっき教えてもらった名前は、忘れないように何度も何度も心の中で繰り返す。
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