魔王様と私

わたくしはエテリーヌ・フランソワーズ。
ただいまぜんしんぜんれいをかけてはしっていますわ。

りゆうはかんたん。マキがたいへんだからですわ。

マキはきおくそうしつで、こころぼそいまおうさまのペットですの。
そのマキがまよったというので、わたくしはあんないしてあげようとしましたわ。
そして、きがつけばきたことのないばしょにいましたの。
そこで、きもちのわるいまものにつかまり、マキはわたくしをにがし、いまもたったひとりでたたかっていますわ!

わたくしはふるくからのめいけにうまれ、みなにあいされてきました。
しかし、わたくしにふりむきもせず、あまいことばもかけないまじんがいたのです。
それがまおうさまでした。
すぐにこいにおちたわたくしは、まおうさまにふりむいてもらうため、できるかぎりのことをしましたわ。
びようにきくといわれるものは、すべてためしましたし、りっぱなしゅくじょになるためのマナーもまなびました。
りゅうこうのドレスをとりよせたり、こうゆもとりよせかみはいつでもサラサラですわ。

しかし、だぁれもわたくしのことをほめてはくれませんの。
いえ、ほめてはくれるんですけど、ほんしんからじゃないんですよね。
メイドたちのあいだでは、わたくしのあいしょうはわがままむすめですわ。
まったく、しつれいしますわ!
でも、そんななか、マキはこころからほめてくれましたの。
とってもうれしかったですわ。

そのマキがいま、ピンチなのです。
ここではしらなければ、おんながすたりますわ!

かわいらしいドレスも、はしるのにはふむきですわね。
あしにぬのがからまりますの。
マキにゆっていただいたこのかみもじゃまですわ。
ばたばたうごきますの。
それにおとうさまにかっていただいたばかりのこのくつもはしりずらいですわ。
かかとがじくじくといたみますの。
それに、もう、はしるたいりょくがありませんわ。
いくらまじんだといえど、わたくしはまだおさなく、びょうじゃくなことから、にんげんとおなじくらいしか、からだをうごかせませんの。

なぜかめにみずがあふれて、しかいがぼやけますわ。
いきがきれて、くるしいですわ。

もう、げんかいですわ…。


マキ……。


「おい、きぞくさまが、こんなところになんの用だよ?」

もうたっているのがやっとのわたくしのまえに、ひとりのしょうねんがたちはだかりました。
もうろうとして、よくかんがえられないあたまで、ひっしにことばをさがします。

「マキを……たすけ…て…」

「は?マキってだれだよ。
っておい!大丈夫か!?目をあけろ!」

マキを…わたくしのゆうじんを…たすけてくださ…い…。
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