魔王様と私
私と魔王
「……あれ…?」
目が覚めると魔王が居なかった。
まだ、完璧に目覚めていない頭が魔王を求めた。
なんだか嫌な予感がする。
「魔王…捜さなきゃ…」
ふらふらとおぼつかない足取りで、部屋をでた。
「あー、またか」
また迷った。
てゆうか、本当に人がいないな。
兵士とかいらないのかな。
とりあえず、歩き続ければ何処かに着くだろう。
壁に 扉が 現れた !
何 故 だ 。
いや、本当に壁に扉が現れたんだって。
これは入れってことかな?
そうかな?そうだよね。
こんなに開けてほしそうな扉してるもん。
私は扉のノブに手をかけた。
「あ、魔王」
そこには、捜してた魔王がいた。
なにやら豪華な椅子に座っている。
あれが玉座か。
「あ、カナちゃん」
なんでカナ呼び。
それを魔王に呼ばれると、むず痒いなぁ。
「カナって呼ぶのやめてよ。気持ち悪い」
魔王の元へ行きながら、あたりを見回す。
なんにもない、ただ広いだけの部屋だ。
どうして魔王はこんなところに居たんだろう?
「マキちゃん酷い!!気持ち悪いなんて!」
「だって、そうでしょう」
とりあえず、魔王の近くまできた。
「こんなところでなにしてたの?」
「害虫駆除かなぁ?」
「玉座に座ってるやつがなにを言うか」
魔王のおでこにデコピンする。
結構いい音がした。
「えー、本当なんだって。
ところでマキちゃん。さっきの話で、サクヤって人が出てきたでしょ?その人のこと、今はどう思ってる?」
溯夜のこと…。うーん。
「好き。だったよ」
「じゃあ、今は?」
「さっきからなんなの。急に変なこと訊いたりして」
「えー、だって、今彼としては、元彼は気になるでしょ?」
「もしかして、嫉妬してくれたの?」
冗談のつもりだった。
普段なら絶対に言わない。
そんな冗談は、真剣な顔で軽く流された。
「うん。で?今は?」
なんというスルースキル。
「今は、あまり関わりたくない」
てゆうか、本当はどうでもいいんだけど。
「今勇者やってるから、会いたくない」
魔王殺されたら困る。
だから、関わりたくない。
「そっかそっか。へぇー」
魔王はニッコニコ笑顔で、満足気に頷いた。
そして、腕を広げ言った。
「おいで。マキちゃん」