シャープペンシル〜私の真ん中に先生〜



「だ…島田!」

「へっ!?」

「さっきから呼んでたんだけど…どした?体調悪い?」



昨日の“彼”の話が何故か頭から離れなくて、たった今も考えていた。



「い、いや?全っ然元気だよ!」

「そ?ならいいんだけど。」



“彼”とは、今喋ってる仲野くんのこと。



2人があんなこと言うから変に意識しちゃう…。




「でさ、ちょっと頼みあるんだけど…いいかな?」

「頼み?なに?」


仲野くんは急に真剣な顔になった。


不覚にもその顔に少しドキッとしてしまった。



「古文のノート見して!」


彼は顔の前で手を合わせて必死な顔をしている。


「………ぷっ。」

「何で笑うんだよ…。」

「だって、あまりに真剣な顔するから何かと思ったら…。」

「しょーがないだろ!昨日寝ちゃったんです!」



彼とは席が隣同士で、こういうやり取りはよくある。


普段彼はちゃんと予習をやってくる真面目な生徒。


でも、部活をやっている彼はたまに忘れてくることもあった。



それだけ部活に一生懸命なんだろう。





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