シャープペンシル〜私の真ん中に先生〜
しばらくして、先生が手に何かを持って戻ってきた。



「こういうの、貰い慣れてないから何を渡せばいいか分からなかったんだけど…。」


先生は少し照れながら、「バレンタインのお返し。」と言って持っていた青い袋を私に渡した。


「え、そんな!お返しなんて良かったのに…。」

「そういう訳にもいかないよ。高校生には何が良いのか全然見当もつかなくてさ…。気に入ってもらえるか分からないけど、良かったら使って。」



あたしは袋の中身が気になったけど、後のお楽しみにしておくことにした。



「ありがとうございます!!大事にします!」

「うん。あ、もうそろそろ授業じゃない?そろそろ行った方が。」


先生は腕時計をちらっと見た。


「あ…そう…ですね。」




あたしが振り向いて歩きだしたらそれが最後。




もう、先生と会うことは2度とない。





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