シャープペンシル〜私の真ん中に先生〜



3月。



天気は晴れ。


冬の寒さも緩み、少しずつ春の訪れを感じる。


陽気な季節。



…と言いたいとこだけど、あたしは全然陽気じゃなかった。


「あさこぉ〜…帰りたいよぉ…。」


「頑張れ!やっとこの日が来たんだから!」



今にも泣きそうなあたしに、電話越しの麻子は勇気づけてくれた。




あれから、先生と何度かメールのやり取りをして、前に先生が住んでいた街で会うことになった。


待ち合わせ場所は駅前。



電車が来る度にドキドキする。



「そろそろ待ち合わせの時間でしょ!切るよ?」


「えー!やだよー!」


「報告待ってるからね!じゃ!」


そう言って麻子は一方的に電話を切った。




あ〜…どうしよう……



緊張しすぎて吐きそう…




「島田…さん?」





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