シャープペンシル〜私の真ん中に先生〜
駅前から少し路地を入ると、静かな街並みに変わり、川沿いの坂道をゆっくりと歩いていく。
「あの…どこに行くんですか?」
「ん?俺が昔よく遊んでた公園。ゆっくり話するにはそこがいいかと思って。」
そう先生が言うもんだから、どこにでもある公園をイメージしてた。
「これ…本当に公園ですか…?」
「俺も最初はそう思ったよ。」
驚きながら中に入ると、まるで迷路のように階段があちらこちらにあり、辺りは植物園のように緑いっぱいだった。
ひたすら階段を登り続け、頂上に到着すると、私はベンチに座り込んだ。
「軽く登山した気分なんですけど……。」
「俺より若いくせに何を言ってるの、これぐらい。それより、これ見てごらん?」
息を整えながら先生が指差す方を見ると、あたしは目を見開いた。
「……すごい…。」
「苦労して登ってきた甲斐があったでしょ?」
そこにはさっきまで私たちがいた街全体が見えていた。
天気が良いことも手伝って、ずっと遠くまで街が見え、青空と合わさって最高な景色になっていた。
あたしはこの景色の感動と、先生と見れたことの嬉しさで、しばらく喋れなかった。
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