Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 この家に住んで、サンゴちゃんと仲良くなってから、お茶を淹れることが好きになった。


 実家にいる時は、お母さんに頼めば、ミルクティーもカフェオレも出てきた。


 当たり前に思ってたけれど、ティーバッグや簡易スティックではなかったそれらの飲み物は一手間かけられたものだったんだなと初めて解った。


 ガラスのティーポットの中のお湯が黄緑色に変わってく。


 注ぎ口から漏れるカモミールの湯気が心をほっとさせる。


 がちゃりと控えめな音が聞こえ、足音を立てないように廊下を歩く音が聞こえた。


 リビングの扉が開くと奈々と目があった。


 「なんだ、花、いたの?義男が電気消し忘れたのかと思った」


 「奈々、今帰り?」


 奈々はうんと頷く。


 心なしか元気ない?夕方、男の人と一緒にいる所を見かけたばかりなので、何かあった?と勘繰ってしまう。


 「おかえり」


 「うん、ただいま」


 普段こう言った挨拶を全く無視する奈々がぽつりと呟く。


 やっぱり、あたしの勘が当たったかな?


 部屋に戻ろうとする奈々に訊ねる。


 「カモミールティー飲む?バイト先のオーナーさんに貰ったんだ。リラックス効果があって、よく眠れるって」

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