Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 受付に並んで座り、来客の対応をする。


 紫村さんと付き合うようになってから、彼はちょっとしたことで顔を出してくれたり、差し入れを持ってくれたりしてたから、紫村さんにそんなつもりはなくても、アヤメは面白くなかったみたいだ。


 「ちょうどその頃から、私が営業部の人たちと合コンに明け暮れてるだの、重役と寝てるだの嫌な噂が広まってたの」


 「それって、そのアヤメが流してたってこと?」


 「直接聞いたわけじゃないけど多分、紫村さんの他に唯一仲良くしてる同期の男の子がいて、彼、営業部なの。仲のいい人たちで集まる飲み会の時、その時私はそういう場に誘われなくなってて、泣きながらその子に語ってたらしいわ。いい子だと思ってたのに・・・とか言って」


 「うわ、最悪~嫌な女ね~」


 「その子、奈々を落としいれようとして?」


 「周りの女子社員から嫌われてる私に弁解の余地ないもの。仕事は全く出来ないし、そのわりには途中で抜けたりしてサボるし、一緒に働くとこっちに掛かる負担が大きいけど、常務の娘だし誰も何も言わないの。愛想だけはいいから、彼女が私を悪く言えば、みんなそれを信じちゃうの」


 つくづく損な性格よね、そう言って奈々はまた深いため息をついた。


 「半年位前に、突然、彼から別れを切り出されたの。順調だったからびっくりした。嫌だって抵抗したけれど、ごめん、好きな人ができたからって言われて。そう言われたら仕方ないじゃない?」


 落ち込んだ奈々は家に引きこもるようになってしまった。


 悪いことは続くもので、心の拠り所だった居酒屋も閉店することになってしまった。


 このままじゃ1人になってしまうと焦った奈々はインターネットでシェアハウスの広告を見つけた。


 誰かと一緒に住むのもいいかもしれない。


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