Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
「悪いけど、この間の奈々の話聞いちまった」
紅虎は真面目な顔をしてまっすぐ前を見ていた。
奈々の表情が硬くなる。
「盗み聞きだなんて言うなよな。お前らでかい声で喋り過ぎだ。サンゴの泣き声なんて犬の遠吠えみたいだったし」
ヤダ、聞いてたの恥ずかしいとサンゴちゃんは頬に手を当てた。
1人、事情を知らないお兄ちゃんが不思議そうにあたしたちの顔を順繰りに見ている。
奈々が意を決して、事情を簡潔に説明した。
話が終わってもお兄ちゃんは何にも言わなかったけれど、表情は沈んでいた。
「で、奈々はどうなんだ?」
「どうって・・・」
「時間が経ってくれるのを待つのか?自分だけが我慢をして。さもなければ・・・revengeするか?」
「リベンジってアヤメに?あの子、常務の娘よ。会社敵に回すつもり?」
サンゴちゃんが目を丸くして、声を荒げた。
「どうせ辞めたんだろ?」
そう言って紅虎は斜め右に座る奈々の顔を覗きこむ。
奈々はぎゅっと唇を噛み締めた。
じっと紅虎を見つめて、呟いた。