Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 サンゴちゃんとはしばしのお別れ、作戦決行後にお兄ちゃんが携帯で連絡をすることになっている。


 ビルまで向かう間、奈々は知り合いがいないか辺りをきょろきょろして、警戒しながら進んだ。


 紅虎から配られたニット帽は被らず、サングラスにマスクというベタな変装。


 


 PM12:55


 会社から数軒先のコーヒーチェーン店の前で内通者である奈々の同僚、鳩羽大輔(はとばだいすけ)さんと合流した。


 紅虎と同じくらいの身長で、学生時代にはラグビーをしていたという鳩羽さんはがっちりとした体型をしていた。


 イケメンとは言いがたいけど、奈々を見つけて爽やかに笑う表情は少年のようだ。


 鳩羽さんは紅虎と握手をすると、社内の様子を簡単に教えてくれた。


 「もうそろそろお昼休憩が終わるからロビーは結構な人で溢れてる。しかも、お偉いさんが滞在中のホテルを出たって重役が話してるのを聞いた。おそらくタイムリミットは15分くらいだ。急いだ方がいい」


 「OK.葵と花は警備室に行ってくれ。乗っ取ったら俺の携帯に連絡を、そしたら、乗り込む」


 お互いに頷き合って、鳩羽さんの案内の下、警備室に向かった。


 地下駐車場には社員の車、数十台と、宅配会社のトラックが3台止まっていた。


 鳩羽さんが堂々と警備室に入った。


 首からぶら下げているIDを機械に通すだけで、ロックは簡単に解除された。


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