Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 辺りが少しずつ暗くなり始めた頃、こちらに向かって歩いてくるターコイズブルーの傘が目に入った。


 階段を数段上った所で美空さんはターコイズブルーの傘を閉じた。


 「こんばんわ」


 扉の前で待っていたあたしは、下にいる美空さんに声を掛けた。


 訝しげな表情をした後、あの夜を思い出したのか、あたしの顔を見るなりため息を吐いた。


 「何か用ですか?お客さんじゃないでしょう?」


 素っ気無く早口で訊くと、階段を上り、あたしを避けるようにして、バッグの中から鍵を取り出す。


 「この間は友達が失礼な事をしてすみませんでした。あの、少しの間でいいんです。付き合ってもらえませんか?」


 「その事は謝っていただかなくて結構です。悪いけど、これからお店開けるんで・・・」


 美空さんは店内に入り、そのまま扉を閉めようとした。


 あたしは扉が閉まらないように無理矢理、足を突っ込んだ。


 扉の間から顔を出し、美空さんに懇願する。


 「あたし、白砂花って言います。白砂葵の妹です。お願いします、10分だけでいいんです。あたしの話を聞いて下さい」


 美空さんの瞳が見開き、手がドアノブから離れた。



 「ママが買い物から帰ってくる間までだからあまり時間ないけど」


 そう言って美空さんは店内に案内してくれた。

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