Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 「サファイア、下にお客さん来てるよ。かわいい顔した美男子よ。あなたに話があるんだってさ」


 それってお兄ちゃん?


 美空さんが戸惑っていると、お客さんを待たせるつもり?とルビーママは一喝した。


 しぶしぶ階段を降りていく美空さんの後を追おうとした所で、


 「深刻そうな顔してた。2人きりにしてあげよう」


 とルビーママに言われ、そのままその場に留まった。


 5分もしない内に、美空さんは店内に入ってきて、話は済みましたからとママに報告した。


 そのまま店の奥に向かう美空さんを呼び止める。


 「美空さんの気持ちはよく解りました。話をしてくれて、ありがとうございました」


 お礼を言い、ソファの上に置いてあった、アジサイの花束を差し出した。


 父の日のプレゼントを選びに行った日、この花束も予約してたのだ。


 真っ青なアジサイの花束。


 「美空さんは覚えていないかもしれないけれど、美空さんのお婆さんは鎌倉に住んでいるらしいですね。美空さんがアジサイの花が好きだから今度見に行こうって約束、お兄ちゃんは覚えてました。あたし、代わりに鎌倉に行って来たんです。すごくキレイでした。そのアジサイは持って来れなかったから、これは代わりだけど」


 美空さんは黙ったまま花束を受け取った。


 「サムシング・フォーと言って、花嫁は古い物、新しい物、借りた物、青い物を身につけると幸せになるんですって。あたしからは青い物を贈ります」

< 293 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop