Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
振り向いた美空さんの瞳には涙が溜まっていた。
「約束してもらえますか?幸せになって下さい。そして、お兄ちゃんがあなたよりももっと幸せになる事を祈ってて下さい。あたしにとっては世界一のお兄ちゃんなんです」
美空さんの涙が何を意味するのか解らなかったけれど、ごめんなさい・・・と呟くと、そのままスタッフルームへと消えて行った。
「すみません、開店前にお邪魔しました」
「構わないわよ。お嬢ちゃんも仕事に困ったらここにおいで、サファイアを越える看板娘になれるかもしれないよ」
ルビーママが歯茎をむき出しにして笑った。
愛想笑いを浮かべ、お辞儀をするとそのまま店を後にした。
雨の中でお兄ちゃんが佇んでいた。
傘を開き、風邪ひくよと声を掛けると、花と名前を呼ばれた。
美空さんからあたしが来てる事を聞いていたのだろう、驚いた様子はなかった。
「これからバイト?」
「ううん、今日は休み。花、俺、美空さんに訊いたんだ。俺は美空さんの事、今も忘れられない位に愛してたけど、美空さんは俺を一瞬でも愛してくれた事ありますかって・・・ないわって即答された。情けないし、かっこ悪いな俺、最後まで勘違いしてたみたいだ」
「もう、何も言わなくていいよ。あたしから見たら、お兄ちゃんみたいなイケメンで優しくて便りがいがあって、どこから見ても欠点のない人を振るなんて、美空さんは見る目がないよ。大丈夫、お兄ちゃんにはもっと良い人がいるはず。妹のあたしが言ってるんだから間違いない」
傘を持ってくれるお兄ちゃんに腕を絡ませると、お兄ちゃんは少し照れて笑った。