Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 天気がどんよりとした曇り空なのが残念だけど、新郎新婦を中心にみんなが集まっている。


 「葵、最後に見届けてやれよ。一番キレイな姿の彼女を目に焼き付けておけよ。いい思い出にしたいんだろ?」


 紅虎に声を掛けられ、お兄ちゃんはゆっくりと立ち上がった。


 複雑な表情のまま、新郎新婦に目を向けると、


 「本当だ。すごくキレイだ」


 と呟いた。


 
 一行は集合写真を撮り終え、披露宴が行われる会場へと移動しているみたいだ。


 そろそろタイムリミットだ。


 「ヤバイ」


 紅虎が慌てて、モニュメントの後ろにへばりついた。


 どうしたの?と訊ねると、ガキと目が合ったと答えた。


 「嘘?海くん?」


 慌てて3人共、小さく隠れた。


 とてとてと小さな足跡が聞えたと思ったら、小さな子供がモニュメントの後ろ側に回り込んで来た。


 「あおいくんだ!」


 知っている人を見つけた海くんはにっこりと笑った。


 お兄ちゃんは海くんとは逆に引きつった笑顔を浮かべてる。


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