Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
暦の上では春なのにひやりと冷たい風が頬を掠める。
この日のために新しいワンピースをおろした。
胸元に花模様の刺繍が施され、スカートの裾のコットンレースが動く度にヒラヒラ揺れる。
色はオフホワイト。
薄手のワンピースはパーカーにレザーのジャケットを合わせても、まだちょっぴり肌寒かった。
「花(はな)」
雑踏の中で聞きなれた優しい声が私の名前を呼んだ。
「お兄ちゃん」
改札口の向こう側で手を振るお兄ちゃんを発見した。
「よかった。会えないかと思ったよ」
地元と違って路線も人も多いし。
お兄ちゃんは貸してとボストンバッグを受け取ると、
「ちゃんと1人で来れたな。えらい、えらい」
と頭を撫でた。
いつまでも子供扱いは止めてよね。
あたしももぅ、20歳になるんだから。
「駅から15分くらい歩くんだ」