Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
「ママがね、かいにね、おねがいしたんだよ。あおいくんにおはなししてってね。パパにないしょだよってね」
海くんは辺りをきょろきょろと見回すとお兄ちゃんの耳に両手を当てた。
「ママはね、あおいくんだいすきなんだって。でも、ママはわるいおとなだから、あおいくんはママといちゃだめなんだって」
こっそり伝えようとしたつもりらしいが声は筒抜けだった。
お兄ちゃんの目がはっと見開く、
「あおいくんにいっぱいたのしいことがあるのをいのってるんだって」
海くんは照れたようにもじもじすると、
「あのね、かいもね、あおいくんだいすきだよ。またあそんでね」
そう言って、タキシードの胸ポケットに刺さった、白バラとアジサイのブトリアをあげると差し出した。
お兄ちゃんはブトリアを受け取ると、ありがとう、葵くんも海くんの事が大好きだよと返した。
「海く~ん、海くんどこに行ったの~?」
チャペルの方からルビーママのしゃがれた声が聞こえて来た。
海くんははぁいと元気な返事をするとルビーママの元に駆けて行った。
「ごめん、格好悪いかもしれないけど、これで泣くのは最後にするから・・・」
お兄ちゃんは海くんから貰ったブトニアを握りしめ、声を殺して泣き始めた。
紅虎はお兄ちゃんの肩を抱き、その場に座り込んだ。