Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 「葵、お前は俺が今まで出会った中で一番いい男だ。この失恋をバネにして逞しくなれ」


 お兄ちゃんを慰める紅虎は今まで見た中で一番カッコ良かった。


 2人の友情と、美空さんがお兄ちゃんを愛してた事実を知って胸がいっぱいになった。


 「お前もすぐ泣く」


 しょうがないなという風にあたしを見て紅虎は笑った。


 だって・・・その後の言い訳は思いつかなかった。


 「Look!・・・the rainbow・・・」


 紅虎は空を指し、呟いた。


 指差した方を見上げると、曇り空の切れ間からくっきりと大きな虹が出ていた。


 

 美空さんがパブを辞める日、彼女に会いに行ったのはお兄ちゃんとあたしだけじゃなかった。


 紅虎も会いに行っていた。


 紅虎はお客さんとして、再び「ルビーの部屋」に行き、美空さんにお酒をかけた失礼を謝った。


 その後、美空さんと話して、美空さんの本心を聞いた。


 お兄ちゃんの事は本気で好きだった。


 でも、息子との将来を考えると、学生のお兄ちゃんより、安定した収入がある医者の彼を選んでしまった。


 彼とはこれから一緒に暮らしていく中で愛情を育んでいきたいと思ってる。

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