Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
「花なの?」
数コールで相手が電話を取った。
懐かしい、温かい声。
「久しぶり、お母さん」
元気なの?ちゃんとご飯食べてるの?お母さんから質問攻めに、うん、元気だよ、ちゃんと食べてると受け答えをすると、向こう側でそうとお母さんは息を吐いた。
「父の日のプレゼント無事届いたってメール見て、ごめん、ずっと連絡しなくて、忙しくて・・・お兄ちゃんから聞いてるかもしれないけど」
「カフェでアルバイトを始めたって、葵が言ってたわ。頑張っているみたいね」
「うん。・・・あのさ、お金の事なんだけど、引越しの分を返すにはまだ時間がかかりそうで・・・」
ドギマギしながら話すとフフフと明るい笑い声が聞こえてきた。
「あのお金は返す必要ないのよ。もともと、お父さんとお母さんが花のために貯めたお金だから。楽しくやってるみたいじゃない?何よりだわ」
「あの・・・お父さん、まだ怒ってる・」
「一応、気にかけてくれてるんだ?」
そう訊かれて、素直にうんと頷けなかった。
そんなあたしの気持ちをお母さんはお見通しで、話を続けた。
「花もお父さんに似て頑固だからね。お母さんと葵が苦労するわ。お父さんはね、花に出て行けって言った事ずっと後悔してるのよ。まさか本当に出て行くとは思わなかったみたいでね。葵から花の近況を訊いてはアイツはしっかりやってるのかなんて心配してるのよ。花は花で全然連絡くれないし、でも便りがないのはいい便りっていうし、葵が定期的に連絡くれるから、何とかね」