Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 と頭を撫でながら優しく微笑んだ。


 紅虎があたしのために見せてくれた始めての笑顔だった。


 思いもしなかった反応にぽかんと口を開けてしまった。


 そのままじっと紅虎を見つめる。


 鼓動が激しくなり、胸がドキドキしてきた。


 こんな笑顔、目の前で見せられたら・・・ダメだ。


 ノックアウトです。


 パタパタと階段を降りる足音が聞え、紅虎は腰を上げた。


 そのまま冷蔵庫へ飲み物を取りに行くようだ。


 リビングの扉が開き、草さんが現れた。


 「花ちゃん、今月の植物採集だよ」


 そう言うと、草さんは拳大のドーム型のアクリル樹脂を差し出した。


 「うわぁ、今月はアジサイなんだね。かわいい」


 「大学の庭に咲いていたのをちょっと貰ったんだ」


 草さんは少し照れたように答えた。


 紅虎はあたしたちを一瞥すると、オレンジジュースを片手に裏庭へと出て行った。


 タバコを吸いに行くらしい。


 これで、あたしの部屋のアイテムが2つに増えた。

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