Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 「はぁ~、こげ茶のカーペットだから、シミ目立たないから良かった。一応、拭いたんで、大丈夫だと・・・」


 「お前、何、さっきの?」


 ようやく呼吸の落ち着いた紅虎が聞いてくる。


 え?何が?


 「トラさんってお前、俺はフーテンじゃねぇ。やめろその呼び方」


 紅虎が何を言っているのか解らなかったけれど、昔の映画だ、不朽の名作なんだぞと言い張っていた。


 「だって、お兄ちゃんがみんな虎って呼んでるって言うから、年上だからさんって付けた方がいいかなって」


 「虎でいい。葵の妹だから特別だ」


 紅虎はオレンジジュースを飲み干すと、テレビに向き直る。


 あたしはピザを齧りながら呟いた。


 「・・・花です」


 「あ?」


 紅虎が面倒くさそうにこちらを見る。


 「白砂葵(しらさごあおい)の妹だけど、花って名前があるんです」


 じっと見つめる紅虎の視線に対抗して、睨み返した。


 だけど、相手の眼力が凄すぎて、すぐ挫折。


 目を逸らすと、口の端を吊り上げて鼻で笑った。


 「・・・変な奴」


 どっちが?


 ピザを口いっぱいに押し込み、むしゃむしゃと食べた。


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