Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
どうぞと椅子を引き、カヲルさんが水を出してくれた。
「今日は金次くんが来るんでしたっけ?」
「そう、舞台の千秋楽が終わったら、ヒマになるんですって」
相変わらず金次くんは二束のわらじを履いている。
ドラマに出て知名度が上がったせいか金次くん目当てのお客さんも増えてる気がする。
例のドラマはネットでは伝説のドラマになってるみたいだし。
前は気軽に写真撮ったりしてたのに、ブログとかに出されると困るとの事で所属する事務所からNG出されたみたいだし。
ツイッターとかで「金次くんが働いている店」とファンの間で回ってしまっているのか取り巻きが日々増えている気がする。
俳優としての金次くんの仕事が増えるのは嬉しいことだけど、どんどん遠い存在になってしまいそうで、少し寂しい気がする。
「いらっしゃいませ」
入り口の扉が開くとカヲルさんが笑顔で答える。
お兄ちゃんだ。
「ごめん、ちょっと迷った」
お兄ちゃんは照れながらそう言うと、隣に立つカヲルさんにお辞儀をした。
「花の兄で、白砂葵と言います。いつも妹がお世話になっています」
「お世話なんてそんな、花ちゃん働き者だから助かっているのよ」