Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 カヲルさんは愛想の良く笑顔を向けると、お兄ちゃんの肩をぽんと叩いた。


 厨房にいる諭さんにも挨拶をすると、諭さんははにかみながらどうもと答えていた。


 
 「何かこういう所に来るの照れちゃうな。やっぱり女性のお客さんが多いの?」


 お兄ちゃんは窓の外から店内を覗き込んで様子を伺っている。


 「そうだね。最近は金次くん効果でますます女性のお客さんが増えたよ」


 あたしたちはテラス席に移動し、飲み物を頼んだ。


 カヲルさんがコーヒーフロートとミックスベリーのスムージーをあたしたちのテーブルに運び、ごゆっくりと声を掛けて、店内へと戻って行った。


 「で、改まって俺に話って何なの?ここに呼び出すって事は家じゃ話せないような事なの?」


 お兄ちゃんは相変わらず鋭い。


 コーヒーフロートのアイスクリームを突付きながら訊ねる。


 少し躊躇ってから、よしと気合いを入れてお兄ちゃんの瞳を見つめた



 「さっきね、オーストラリアからロミさんが紅虎を訊ねて来たの」


 アイスクリームを口に運んだお兄ちゃんの片眉がぴくりと動いた。


 「前にお兄ちゃんが紅虎は初恋をずっと引きずってるって言ってたよね?・・・だから、あたしがもし、紅虎を好きになっても報われないって」


 「ごめん、あの時は俺も美空さんの事で悩んでいる時だったから、花にひどい言い方しちゃったんだ」


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