Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~
「ううん、お兄ちゃんがあたしを思って意見してくれたって解ってるから。あたし、嘘ついてた。やっぱり紅虎の事が気になってるみたい・・・傷ついてもいいから、ロミさんの事、教えてくれないかな?」
お兄ちゃんの表情が固まった。
コーヒーフロートのアイスクリームが溶けて、琥珀色のコーヒーを濁らせていく。
「別にあたしの気持ちを伝えた所で、お兄ちゃんに仲を取り持って欲しいとか考えているわけじゃないの」
慌てて付け足したものの、すごく言い訳がましくなってしまった。
あたしはただ、紅虎は好きな人について知りたいだけなのだ。
お兄ちゃんはコーヒーを一口啜ると、ふぅとため息を吐き、あたしの目を見つめた。
「こうなると知ってたら、また違った選択もあったのにな・・・ロミさんは虎の幼馴染みなんだ」
シドニーの北側に日本人が多く住むエリアがあるらしい。
紅虎とロミさんは家が隣同士だった。
「当然、両親同士が仲良く、一緒に出かけたり、休日の夜はBBQパーティーしたり、物心ついた時から兄弟みたいにいつも一緒にいたらしい」
紅虎は歳が8つ離れたお兄さんがいて、ロミさんが紅虎より4つ上で、紅虎は末っ子。
ロミさんは1人っ子だったから、3人は本当の兄弟みたいに仲が良かった。
紅虎もロミさんを実のお姉さんみたいに慕っていたのだという。