Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


あの時のキスってなんだったんだろう?


改めて思ったのは、数日経ってからだった。


紅虎からもらった12本の白いバラはカーテンレールに逆さにつるしてドライフラワーになっている。

 
その後、その質問を本人に訊ねられないまま、今に至る。


奈々はたまにぎこちないっていうけど、私からしたら、いつも口が悪くてジコチューな紅虎に見えるし、海外生まれ、海外育ちの紅虎にとってキスって軽いものなのかもしれないなと最近思うようになった。


ロミさんにもしてたし、きっと実家に帰ったらお母さんにもするだろう。


挨拶みたいなものだよ。


挨拶・・・私にとってはファーストキスだったのに・・・考えていると落ち込んでくる。

 
「でもさ、逆にチャンスだよね?虎ちゃん、ようやく初恋を吹っ切った所だし、私が引っ越したら、花が虎ちゃんの一番近くにいる女ってことになるじゃん?失恋の痛手に付け込んでさ・・・」


奈々が膝を抱えて丸くなっている私の肩を抱き、耳元で囁いてきた。

 
「そんな・・・弱みに付け込むなんてできないよ・・・」

 
「ピュア女子だね~花は。ちょっと腹黒くならないと男はゲットできないよ。ま、恋愛相談ならお姉さんがいつでも乗ってあげるから」


相談してと奈々は右手で軽く胸を叩いた。

 
「すっごい上から目線・・・嫌な感じ」

 
「黙りなさい。恋愛初心者が!」


そう言われると太刀打ちできないので黙り込んでしまう。


ムスッとした表情をしてると、「奈々、掃除済んだか?」と玄関で紅虎の声がした。


< 382 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop