Colors of Life ~ドキドキ!ルームシェア~


 駅を出て、商店街を抜けて、大きな公園に沿って、お兄ちゃんは歩みを進める。


 あたしは目新しい景色にキョロキョロと辺りを見渡しながら、お兄ちゃんの後をついて行った。


 

 都心から急行電車で20分、車窓から見える景色が高層ビルから住宅地に代わってきた頃。


 地元の駅とあまり代わり映えしないような光景。


 そんな街がこれから私の住む街になる。


 「東京に行きたい」


 いつ頃からだっただろう。


 漠然と考えるようになったのは。


 唯一の相談相手は東京の大学に進んだ2つ違いのお兄ちゃんだった。


 私と違って、優等生のお兄ちゃん。


 両親の自慢の息子だ。


 「来たいんだったら来てみたらいいよ」


 お兄ちゃんはあっさりしていた。


 「俺と一緒に住んだらいい」


 え?いいの?


 引越し先についてはどうしたらいいものかと頭を抱えていたけれど、お兄ちゃんの一言で一蹴された。


 「シェアハウスって知ってる?」


 
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