恋の境界線
「かんけーねーよ。あんな男にデレデレしてんじゃねーよ!」
グイッと自分の体が裕理の方に持っていかれる。
その逞しくなった腕と胸に体を押し付けられ、自分の中でも何かが弾ける。
「裕理だって外に出ればファンに囲まれてるじゃん!」
そう言って私は彼を突き飛ばした。
裕理はアイドルで、テレビやネットの動画で相当顔を知られている。
ちょっと仲良しが出来ただけでスクープされる身だ。
「ファンは恋人とは違う。俺は友達と飯食っただけでガタガタ言われるし……もう女と接触するのもうっとおしいんだよ」
「……」
こういう言葉を聞くと、私に迫ってくるのは外で恋人を作れない鬱憤なんじゃないかと思ってしまう。