嘘、鬼よ。
父上…、父上は、私が死んだら悲しむだろうか?
いや、悲しまないだろうな…。
あの人は仕事一筋だから。
私は、旧家の育ちだ。
つまりいいとこのボンボン。
このご時世でも、父親のことを父上なんて呼んでいるし。
お堅い、お家ってわけだ。
父上は仕事熱心で、それなりには私と会話なとをしていたが、特に愛情を注いでもらった覚えはない。
血が繋がってて、生活費を出してもらっているだけで、それいがいはただの他人のようだった。
会えば挨拶するだけ。
なにか話したかったら、少し世間話でもするだけ。
私の勝手な憶測だと、父上にとって私はご近所さんのような立ち位置にいたのかもしれない。
母親は、離婚していない。
父上の財産目当てだと言うことが、わかったためおたがいなにもなくスルっと離婚した。
特に、悲しくもなかったし、私には使用人がいたから寂しいと思ったこともなかったしな。
これからどうなるのだろうか…………――