嘘、鬼よ。
「………くっ」
「とし、止めなさい。
三冷さん。我々が悪かった。
申し訳ござませんでした。」
「近藤さんっ!!!」
近藤勇…。
拷問には来なかったな、この人。
この人があの、土方と沖田が心から慕ったと言う、後の新撰組の長か。
「いや、もういいよ。
じゃあ、私は帰してもらえるのか?」
「…あ、あぁ。
それと、荷物。」
土方が奥から私のスクバと木刀竹刀のはいった袋をもってきた。
……ん?
「開けてないのか?」
スクバは、開けた痕跡がない…。
てっきりなかを見られていると思って
言い訳をするために構えていたんだが、
「やはりこれは、開けられるのか!?」
あ、単に開け方がわからなかっただけか
「いや、何でもない。
では、私はこれで失礼させてもらう。」
はぁ、これからどうしようか…。
「待ってください、三冷さん。
私がお宅まで送って差し上げましょう」
こいつ…。
わかっているのか?
私に返る場所がないと言うことが。
笑みが黒い…
「いいや、遠慮する」
「そんな、良いですって。
それよりも居場所を突き止められたら、不味い理由でも…?」
そうだな…
どう、法螺を吐こうか。
「…私は旅人だ。家はない。」
こういうことにしとけば、良いだろう…。