嘘、鬼よ。
「…お、おおわりっ!!!」
お、わり……?
なんだこの呆気なさは…?
実感がわかない…
嘘だろ?
「齊藤が……負けた…………?」
背中からそんな声が飛んできた。
どうやら今のは私の錯覚ではなく、本当に勝ってしまったらしい…
それも、1分とかからずに。
弱い?
…まさか。
手加減したからか?
いや、途中から本気を出した感じは確かにした。
では、なぜ?
「いやー、三冷すげーよ!!
あの、齊藤を倒しちまうなんてさっ!
さすが俺の見込んだ奴だぜ!!
がっはっはー」
「原田…。
私は、今…勝ったのか?」
弱い、弱すぎる…
「当たり前だろ!
見た感じ、齊藤も本気出してたみたいだしなー。
お前強かったんだな!!」
あれが本気だと?
信じられない…。
構えにも隙がありすぎる。
彼はただ単に、反射神経と腕力が優れているだけで、全然なってないじゃないか…
「三冷さん、素晴らしいです。
圧倒的に強かったです。
もしかしたら…、いえ、絶対に私よりも強いですよ。
あんな戦い方見たことありません。
是非、ご指導願いたいですね。」
はっ、そういうことか…!!!