嘘、鬼よ。
野次馬はというと、また新撰組が問題を起こしただのと、色々と噂しているようだ。
これだから、評判が悪いんだ、たくっ。
さて、帰っ―――
「あの。助けてくださってありがとうございます。」
振り替えると、先程男と口論していた気の強そうな女がいた。
といっても、今はなんだかしおらしくなってしまっている。
「仕事だから。」
そう、これは仕事。
やるべきことをやったまでのはなし。
「いえ、…その。
新撰組にもこんな素敵な方がいたったなんて知らんかってん。
助けてくださったお礼を何かさせてくなんし」
先程までとは急変して、もじもじとしだす女。
心なしか、頬も赤いし、
こいつ…………
私のこと好きダロ。
いや、自意識過剰とかそういうのは、ホントどうでもいいんだが…
同じ女だからな。
男は分からずとも女が好きな異性にする態度など、同性なのだから分かる……
確かに私は今、男装してるけどさ…………
「うちの家系は忍の家系故、
新撰組…いえ、あなた様のお役にたてると思います。
是非、お礼をさせてくなんし」
忍…か。
そうだよな、まだそんな時代だ。
その辺の町娘が忍でも可笑しくはないけど…
「いいよ。ありがとう。
気持ちだけいただく。」
「いえ、何かさせてくなんし!」
「じゃあいつか喉が乾いてしょうがないときにでも、お茶をご馳走してもらおうか。
団子付きで。
お礼はそれでいい。
じゃあいつか。」