嘘、鬼よ。
『京都守護職なんて結局、幕府公認のただの人斬り集団やないの』
そう、実際そう考えているのも現代にだって、この時代にだって少なくない。
しかし、これは不味くないか…?
「………」
沖田や他の隊士も聞いちゃってるわけだし。
『浪人と見れば誰だろうと構わず斬り捨てんねんて。
私達だっていつ浪人と間違われて斬られるか分からん。』
そうだ。
新撰組は鬼だ…。
情けなどない。
刀を抜いて敵意を示した瞬間視線は殺意へと変わる。
『人殺しや、人殺し。
なんであんなんが京を守ってん。』
『ほんとやなぁ。人殺し』
沖田の耳がピクッと動いた。
耳を動かせるなんて器用だなぁ…じゃなくて、これは不味い……!
相当不機嫌だ。
斬り捨てはしないだろうが何かやらかしそうで怖い。
「…………」
すると無言で声のする方へと歩き出す沖田。
面倒ごとにしないでくれ…。
沖田だってそんなことくらいわかってるはずだ。
「どうも。
随分と素敵なお話をしていらっしゃるようで…
僕も混ぜてはもらえないでしょうか?この新撰組沖田総司も」
腹黒い笑顔にこちらも寒気がした。