調○彼女
先輩の言葉は全部嘘だった…

先輩は私を通して、彼女を見ていた

だから先輩が『ヒメは可愛い』と言っても、それは『○○可愛い』ということ。
先輩がキスをしているのは、私じゃなくてその彼女。
先輩の中で私は彼女に変換される

先輩の前で、私はいなくなる…

私に価値なんかない…

先輩の中に私はいない…

ただの器だった。先輩の彼女の−−−





私はしばらく先輩に会わなかった。元々中央棟でしか会わなかったし、私は職員室に行くのを避けていた。先輩がわざわざ危険を犯してまで、私の教室に来る事もなかった。

食堂にも行かず、凜に頼んで屋上でご飯を食べた。

極力会いたくなかったし、見たくもなかった。

偽りのアイドルなんか…


放課後は真っ先に帰っていたけど、毎日靴箱に先輩から手紙が入っていた。
『話があるので、温室で待ってます』と。

何でこんなにしつこいんだろう…?
私なんかどうでもいいじゃん!そんなに身代わりが必要なの!?
…そりゃあそうか…、先輩の本性を知っているのは私だけ…私しかはけ口にならないから…
ただシたいだけ。それか許してもらって安心したいだけ…

私は手紙を捨てた
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