調○彼女
毎日毎日、手紙を無視してやった。

私達は秘密の関係…

先輩はみんなの前で、私に下手に手を出せない。

それが私の強みだった


靴を履き替えて帰ろうとした時だった

「結城さん…」

ビクッと体が跳ね上がる…

恐る恐る振り返ると、光先輩ではなく、サッカー部の先輩がそこに居た…

な、なんだ…び、びっくりした…

「ちょっといい?」

「?はい…」

私は歩いて中庭までついて行く

温室が見えてくる

近づきたくない!これ以上進みたくない!

私が足を止めると、先輩は振り返った

「結城さんって、好きな人とか彼氏とかいる?」

え?好きな人…

ズキッと胸が痛んだ。何でかはわからない…

「いませんが…」

「付き合ってもらえませんか?」

「え?」

この人と付き合う?
………

「せっかくですができません。すみません」

私は下を向いて断った。

とてもそんな気分になんてなれない…この人だって、本当の私なんて見ちゃいない…
好きなのは偽りの私だ…

「やっぱし…そうだよね、俺じゃ無理だよね…」

先輩は寂しそうに微笑んだ

「本当にごめんなさい」

「じゃあさ、キスさせて!」
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