調○彼女
廊下が静まり返る…

「…ばらしても…いいですよ…私が温室の影で煙草を吸ってたこと…
これで先輩から解放されるなら、喜んで処分を受けるから!」

私は先輩を睨み付けた…

先輩の瞳にはもう輝く色が無かった…

久しぶりに見た先輩はクマができていて、アイドルオーラが全く無かった。顔面が蒼白になっていて、まるでマスクでも付けているように見える…

「…ごめん。そんなに傷つけてるなんて知らなかった…本当にごめんなさい…」

先輩の声が微かに震えている…
先輩?何で…?

「…ヒメちゃん、俺もう二度と迷惑かけないから、酷いことばかりして、ホントにごめんね…」

先輩は泣いていた、ううん…泣くのを堪えていた

「俺、もう二度とヒメちゃんの前に現れないから…安心して前みたいに…笑って!俺…ヒメちゃんの中で、笑顔が1番好きだから…じゃあ、さようなら…」

先輩は涙を見せずに去って行ってしまった…

笑って?もしかしてさっきもそう言おうとしてくれたの?…先輩…私の事…ちゃんと見てくれていたの?
…本当に『私の』笑顔を好きだって言ってくれたの?

…先輩…

私の事、少しでも見ててくれたんだ…
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