調○彼女
「…俺の前に天使が現れた…クサイけど…しかも状況としては堕天使にしか見えなかったけど…」

…それって、私?

「…最初は目を疑ったよ、あのミス可憐が?って。腐ってタバコなんて吸ってて、しかもムセてて!超びっくり。」

…だから、反省してるからもう言わないで欲しい!

「でも俺と同じ…二つの顔で苦しんでる…
ヒメとの時間は楽しかっただけじゃなく、楽だった。お互い、自分を隠さなくてもいい関係だったし、秘密ってところがまた、嬉しかったし。」

私は涙目で先輩を見つめた。とめどなく涙は流れてくるけど、先輩を見つめなければいけないような気がしたから…

それにどうしてだろう…、先輩が笑ってる…あんなにさっきまで暗い顔をしていたのに、今は輝いている…

私の好きな先輩…

私はフラれているのに、目が離せない…

「何より、可愛いヒメを独り占めできるのが、俺の幸せだったよ…」

先輩…?それってどういう意味!?

先輩はニッコリ笑って、私の涙を手で拭い、軽いキスをした…

な、何で!?

先輩はあのハンカチをポケットから出して、私に差し出した…

「ほら、ヒメ。『返す』よ…」
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