3度目の結婚
side YUKIE

ひなたが、妊娠した。

私にとっては、嬉しいと悲しいが入り混じった気持ちだった。

本当なら、自分でも子供を産みたかった。

30の時、2年付き合った彼と結婚したが、その時すでに
サロンが忙しくなっていて、店舗も増やしたいと日々仕事
に励んでいた。

彼は、私の仕事を理解し、サポートもしていてくれていて
順調に結婚生活を送っていたのに・・・・。

結婚して1年ほどたった時に、私は、自分が妊娠していることに
気が付かず・・・・流産してしまった。

日々、寝る間も惜しんで仕事をしていた私は、過労が重なり
倒れてしまい、同時に流産してしまった。

その時、医者に、『たぶん、2度と妊娠は出来ないと思います』
と死刑宣告を受けているような言葉だった。

自分の不甲斐無さと、彼への申し訳なさで心が病み、地獄のような
日々を送った・・・・。

彼は、長男で、一人息子。

当然、彼の親は、後継ぎが望めなくなった私と、離婚するように
迫った。

彼の実家は、古くからの名家で、何が何でも後継ぎが必要。

私は、彼への愛情を持ちつつも、心を鬼にして離婚を切り出した。

彼は、最初は応じなかったが、私の強い決意を知り、離婚に応じた。

その後私は、ますます仕事に励み、事業を拡大させた。
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