3度目の結婚
「はい、飲んで・・・。」

「ありがとう・・・・」

暫く、彼は静かに泣いていたが、漸く話始めた・・・・。

入院しているおばあちゃんが、後、わずかな命であると、
父親と医者が話しているのを聞いてしまい、ショックで
その場から逃げてきてしまった。

「ねぇー、名前はなんて言うの?私は、海藤 幸恵よ」

「僕、工藤 樹(くどう いつき)」

「えっ、工藤・・・・・・。まさかね・・・・・」

一瞬、頭の中で、隼人を思い出したが、まさかありえないと
自分の考えを否定した。

「おばあちゃんは、優しいんだね。」

「うん、僕、お母さんがいないから、おばあちゃんがずっと
 一緒に居てくれたんだ。父さんも居てくれるけど、仕事が
 忙しくて、なかなか一緒に居れなくて、でもおばあちゃんが
 一緒に居てくれて、寂しくなかったんだ・・・。」

「そっか、お母さんが居ないんだ・・・・。」

「うん、でもね。おばあちゃんもいたし、父さんは忙しいけど
 僕の事を大切にしてくれているんだよ。」

「・・。いいお父さんとおばあちゃんだね!」

「うん!」

『樹!』

樹君を呼ぶ声がする方を見た・・・・。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・。」」

「幸恵・・・・・・・。」

「隼人・・・・・・・。」
< 178 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop