3度目の結婚
「そんな・・・。もう、昔の事なのに・・・。」

「今さらで、本当に申し訳ないが、お袋の最後の我儘を
 出来たら聞いてやって欲しいんだ・・・。」

「・・・・・・。」

「お姉ちゃん・・・・。僕からもお願い、おばあちゃんに
 会って・・・。お願い・・・。」

「わかったわ。いつがいいかしら?こんな夜遅くより、
 昼間の方がいいでしょ?」

「悪いな。じゃー明日の土曜日は、時間作れるか?」

「午後からなら時間作れるわ!」

「じゃー、2時にここで待ち合わせで良いか?」

「いいわ。じゃー明日の2時にここで」

ひょんな事から、工藤のお母さんと会う約束をしてしまった。

翌日、待ち合わせた場所に、隼人と樹君はいた。

◇◇◇◇◇

「幸恵さん・・・・・。」ポロ・ポロ・ポロ・・・

工藤の母は、私の顔を見るなり、ポロポロと泣き始めて
しまった・・・・。

「おかあさん・・・。」

「幸恵さん、本当にあの時はすまなかったね・・・。
 幸恵さんが傷ついているのを知りながら、辛い選択を
 させてしまって・・・。本当に、ごめんなさいね・・・。」

工藤の母は、そう言いながら、ただ涙を流すだけだった。

「お母さん、顔をあげてください。私は、なんとも思って
 いません。私の不注意で流産ししまったんですから、
 当然のことだと、今でも思っています。
 だから、お母さんが気に病むことはないんですよ」

「幸恵さん、ありがとう」

そう言いながら、工藤の母は、笑顔を見せてくれた。
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