3度目の結婚
「幸恵、ちょっと向こうで話そうか・・・・・」

「うん」

「樹、おばあちゃんの所でいてくれ。父さんは、幸恵さんと
 話があるから・・・。」

「うん、分かった。」

二人で、中庭のベンチに座り、お互いの話をした。

「幸恵と無理やり離婚してから、俺は、『再婚はしない』
 と親父達に、宣言したんだ。
 でも、2年後、親父が倒れて・・・癌だった。
 それが分かって、意を決して、見合いをし、再婚した。
 でも再婚しても、俺は幸恵が好きだったから、どうしても
 香織の事を、本当に愛せなくて・・・・。香織もそのことは
 薄々感づいていたんだと思う。そんな時に、樹を妊娠したんだ。
 香織は、子供が生まれれば、俺の気持ちが向いてくれると
 信じていたんだよ。  でも、樹が生まれても、やはり
 香織を心の底から、愛する気持ちが持てなかった。
 そんな時、親父が倒れて、あっけなくあの世に行ってしまった。
 ただ親父は、樹の誕生を心から喜んでくれた事は、親孝行
 出来たんだと思ったが、反面親父が、工藤の血に拘らなければ
 俺は、子供が居なくても幸恵と一緒に居られたのに・・・・・。
 って思ったよ。
 親父が死んで、暫くしたら香織が、樹を置いて、出て行ったんだ。
 まだ1歳にならない子供を置いていくなんて、信じられなかったが
 香織は、俺が香織を愛せなかった事で、あいつはいつの間にか
 違う男を作って、工藤の家を出た。
 それから、俺は樹と母さんと一緒に暮らして来たんだ。」


「そうだったの・・・・。」

「そんな、未練たっぷりな俺じゃー、幸恵は否だろうけど
 幸恵、俺たち、やり直さないか?」

「・・・・・・・。」

突然の告白に、頭がついて行かず・・・

「少し考えさせて・・・・。」

「そうだよな。わかった。幸恵、連絡先だけ、教えてくれ。」

そう言いながら、二人で連絡先を交換した。
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