センパイとワタシ

 冷静を取り戻したらしい未来ちゃんは涙をぬぐいながら言った。


「私、家に誰かと二人っきりになったことなくて。しかも初めてが男性なんて考えると…」


 あっ…そうか。

 そこまで考えてなかった。

 確かに慣れてないのに男と二人っきりなんて。

 …怖いよな。



「センパイのこと疑ってたわけじゃなかったんです。ただどうしても、そういうこと考えてしまって…」

「そうだよな、ごめん。怖い思いさせたな」


 
 首をフルフルさせる未来ちゃんが可愛かった。

 そしてその未来ちゃんを傷つけた自分が許せなくて。


 …どうしたら、怖さを取り除ける?
 
 ふと思った。
 


「未来ちゃん…」


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