センパイとワタシ

「今気づいたんですけどお母さんからお弁当作ってもらったりしてませんか?!」

「え?…あぁ、そういうこと」


 よくそんなところまで気が回るよな。

 …まぁいつもより量が多くてもオレは男なんだからある程度は食べ切れるけど。


「そんなこと気にしなくていいよ、だってオレ家族いねぇし」

「…はい?」

「両親は事故に遭って、もうこの世にいないし。兄弟姉妹はもともといないし」

「!!」


 あ、ヤベ…

 つい口が滑った。

 こんなこと言うつもりじゃなかったのに。

 

「…ごめんなさい」

「いや、オレこそごめん。急にこんなこと言って、困るよな」
 


 うわ、未来ちゃん顔色悪くなってるし…

 そんなにショックだったんだろうか。


「いえ、そうじゃなくて。…辛いこと、聞いてしまって」

「オレは大丈夫だよ、マジで。…だって見えないけど、オレ二人と一緒にいるもん。だから、オレは毎日笑って過ごせるの」


 そう、親父たちはいつも俺を見守ってくれてる。

 それに悲しんだ顔をしてるより笑ってる方がきっと喜んでくれるから。

 …オレはそう思ってる。

 
 
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