あそこの姫は逃走中
人間界
光のなかに入り目の前の視界は真っ白になった。
……………?
雲一つない水色の空、そこに小鳥たちが飛んでいる光景…
ここは妖怪の世界と変わらない景色。
ふと起き上がりあたりを見渡すと大きなボロ小屋に枯れた草や花。
どうやら綺麗なのは空だけなようだ。
「さむ………」
気温てきに冬かな?岩に雪が積もっているしこれは間違いなく冬だな。
「魔死……?」
暖かかったものがあったはずの手がなく、魔死…いや子供たちもいなく一人ぼっちだった。
「魔死…?魔死…?」
まさかあの時に離れてしまったのでは?違うところに飛ばされたのでは?
「うそ……」
そんな言葉も寂しく、ただ冷たい風が体を冷やすだけだった。
さいごに魔死が握ってくれた手をよく見た。
手が赤くなり、鉄くさいにおいが鼻をかすめた。