世界が終わる時の景色



溜息を吐くように、小さく呟いてから。


「久下」

「はい」

「今日は会食という形に置き換えよう。

宝生(ほうしょう)の時期当主との会談、だ。いいな」

「かしこまりました」

「お父様…!」


ずっと篠山の背中に隠れていた莉麻が、父親に駆け寄った。


「政略結婚は強制しない、といつも言っていただろう」

「…ありがとう、ございますっ」

「気が向いたら戻ってこい」


ひらりと手を振って、彼…
真城 大治(ましろ だいじ)は中へと戻って行った。


「…あの、篠山くん…」



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