世界が終わる時の景色
振り向いた志乃は、微笑んでいた。
…日向にしかわからない、嘘の微笑み。
―・・・
「どうして知ってるの?」
夜、月明かりが照らすバルコニー。
ここに入るのは、どれくらいぶりなのだろう。
「見てた、それだけよ」
「見てた…?」
「藤堂様を連れて来て、すぐに部屋を出て行ったでしょう?
あの後すぐ、貴方を追い掛けたの。
だけど、その時にはもう真城さんと一緒に居た。
…背中に抱きついて、ね」