世界が終わる時の景色



一部始終を見ていた、という事だろう。

すべては見ていなくても、察しのいい彼女ならきっと気づく。

淡々と述べる彼女を見つめても、
背中を向けられているから、表情は見えない。

ふわりと吹いた風が、
志乃の長い髪とランジェリードレスを揺らした。


「…そっ、か」

「付き合うんでしょう?」

「…うん」

「あの子、いい子よ。だから、大切にしてあげなきゃね」

「…わかってるよ」



―「好きになってみせるから」



そう告げた時の、彼女の照れたような、嬉しそうな、
かわいらしい笑顔。

あの子を裏切るなんて、出来ない。



< 110 / 207 >

この作品をシェア

pagetop