世界が終わる時の景色
「…私と違って、素直で、いい子」
「……」
「かわいらしくて、貴方の隣が似合ってるわ」
志乃の声は、震えていた。
「私と違って…財閥の運命を担っていない」
「…志乃…」
「…嫌ね、寒くなってきちゃった」
くすりと笑う声と共に、鼻を啜る音が聞こえた。
「…彼女…、…瀬崎さんみたいな人、だったら。
今まで貴方に近づいてきた、汚い女達のひとりだったら」
その刹那、志乃は振り返り。
「…殺せたのに!」